初心者とか、初級者、中級者、上級者などと、レベルごとにランク分け?することがありますが、その境目って微妙だと思いませんか?もう30年以上前になりますが、私は冬場になるとスキーに行くのが好きでした。決してうまく滑れるわけではなく、とにかく雪の上を滑る感覚が好きだったので。30代前半で椎間板ヘルニアを患って入院手術してからはスキーをするより温泉の方が良くなってしまいましたが・・・。最近になって友人から最近のスキー板は短いものが多く、簡単にターンが出来るよ!と聞きました。以前は初心者でもかなり長い板を使いましたが、この重く長い板がなかなか言うことを聞いてくれません…。それでも慣れてくると、いわゆる「上級者」向けの2mの長い板に憧れました。結局私の技術と体力では取りまわすことができず、憧れのまま終わりましたけれど・・・。また、コースも初級者コースや上級者コースなどに分けられていて、間違えて上級者コースに入り込んでしまうと、こぶこぶの超急斜面で降りてこられなくなることもしばしば。途中で転んだら止まることができず、そのまま背中で数10メートル滑って何とか止まれたなんてこともありました。スキー連盟などの団体で1級とか2級とかの判定試験を行っているところもあり、スキーでは中級者とか上級者とかいった区分けがきちんとされている感があります。当時は中級者コースを滑っているのが楽しかったら中級者っていっても良いのかな?などとなんとなく勝手に認識していたように思います。初心者と中級者の境目がどこなのか微妙ではありますが、初心者が上級者向けの道具を使ったり上級者向けのコースを利用することは、危険が伴うこともあってお勧めできることではありませんでした。
さて、ウクレレの場合はどうでしょうか?初心者向け講座とか、中級者向け講座とかありますよね。講座の内容にこんなことをやりますって書いてあったりするので見てみると、私が参加するとすれば中級者コースの内容はまだ無理のようですから初心者コースがいいなと思います。ということは、未だに私は初心者のレベルを脱することができていないということなのですが、スキーの板のように使う道具という意味でウクレレを見ると、初心者用ウクレレとか上級者向けウクレレなどと紹介されている記事を拝見します。初心者用はいくらまでとか上級者向けはいくら以上などと、金額で分けている方も多くいらっしゃいますし、高額なウクレレを初心者向けとして紹介している方もいらっしゃいます。色々な考え方があるということですよね。
わたしはウクレレ広場で初めてウクレレを購入する方に、今までずっと1万円以下のウクレレをお勧めしてきました。それは手軽に始められて、ウクレレのすばらしさをまず感じてほしい!という想いがあるから。せっかく興味を持ってもウクレレを購入するのに数万円かかると思うと、なかなか手が出せなかったりするのではないかと思うから。数万円が数千円だったら、格段に最初のハードルが下がるはずです。居酒屋さんに行くのを少し我慢したら買えるんじゃないかと。ですからその考えは今も変わりません。
では、純粋にこれから始める、あるいは始めたばかりの方にとって、金額を考えずに最適なウクレレとは何かを考えたときに、一番最初に挙げられるのは「弾きやすさ」ではないかと思っています。その次に、毎回必ず必要になるチューニングのしやすさなどが挙げられ、そのあとに、音質や形や木目など見た目の良さなどが付いてくるのかなと。
もちろん、私の独断と偏見です。まず最初に「見た目」を上げる方もいらっしゃいますよね。見た目の良さで練習するモチベーションが上がるとか、やめてしまってもインテリアになるとかの理由を挙げていらっしゃることが多いのではなかったかと思います。もちろんいい楽器を持つとモチベーション上がりますよね。否定しません・・・。ただ、私としては、弾きやすくてどんどん色々な曲が弾けるようになっていった方が、さらにモチベーションが上がるのではと思っています。高価ないい楽器でも弾く側にテクニックを要求してくるものもありますから、高価ないい楽器が全て初心者にもお勧めできるわけではないようですし。
1年ほど前に占部のL-40Hというウクレレを購入しました。(追記:手放してしまいました……)占部のウクレレは多くの国内外の多くのアーティストから支持されているウクレレです。高価なのでもちろん中古で買いました。ホンジュラスマホガニーで出来ているということで本物のマホガニーのあたたかい音ってどんな音なんだろう?と思い購入したのですが、こいつがなかなかうまく鳴ってくれません。たまにうわっすごい!と思うくらい透明感のある素敵な音を奏でてくれてびっくりすることがあるのですが、普段はなかなか気持ちよい音で弾けません。きっとこういう楽器を上級者向けというんでしょうね。なかなか良い音で鳴ってくれない楽器は、なかなか上達せずに途中でめげてしまったりします。私は幸いにも他のウクレレを持っているのでウクレレから離れずに続いていますが、最初の段階でこれしか知らなかったら続けていられたか微妙です・・・。ですから、私としては最初のウクレレは弾きやすさを一番に挙げたいと思っています。
先日、カニレアのソプラノを一本買いました。これがまた素晴らしい音なんです。ソプラノの小さなボディからつややかで深みのある音が響きます。そして、すごく弾きやすいのです。おすすめウクレレ筆頭とされているフェイマス(FS-1Gしか持っていませんが・・・⦅追記:後日FS-5Gも手に入れました⦆)よりも弾きやすい!これまた高価なウクレレなので中古で買ったのですが、きっと前のオーナーさんが弾きやすく調整してくれたのかもしれません。私が今まで買ったウクレレの中で一番弾きやすいといっても過言ではありません。とうもネックの幅がフェイマスなどよりも幅が広いように思います。弾きやすくて、音がよくて、見た目がいいとなれば、これはひょっとしたら初心者おすすめ筆頭ウクレレなんじゃないか?と思ってしまいました。カニレアを初心者向けウクレレとして紹介している方はあまりいらっしゃらなくて、本当の初心者向けウクレレって何だろう?と思ってしまったのでした。
カニレア(Kanire'a)は、カマカ(Kamaka)、コアロハ(Koaloha)と並び、その頭文字から「ハワイの3K」としてハワイを代表する上質なウクレレの代名詞と称されています。1998年創業と比較的に新しいメーカーです。その構造や塗装などに積極的に新しい技術が取り入れられていて、伝統的なつくりと言われるカマカとは対照的な存在と言えるかもしれません。私の購入したカニレアはK-1S DGという、シンプルな装飾のソプラノサイズで、デラックスグレード杢でグロス塗装のモデルなのですが、その音は優しく温かく、琴線に触れる音だと思ったカマカのHF3D2Iの音に引けを取りません。しいて言えばカマカのような特徴的な音というより、バランスの取れた音といっても良いと思います。カニレアとは「楽しい音」という意味だそうで、ずっと弾いていても飽きることのない、まさしく楽しい音だと思います。自分の好みの音は大きなサイズのウクレレでないと出ないのだろうなと漠然と思っていましたが、その考えを簡単に打ち破ってくれた、出会えてよかったウクレレの一本です。
「いつまでも弾いていたいウクレレ」が初心者に限らず誰にでもお勧めできる最高のウクレレなのではないかと思います。ただし、予算は考えずにいえば・・・ですが・・・。カニレアは高額なウクレレではありますが、弾きやすくて素敵な音を奏でてくれるウクレレです。もし、楽器店などで見かけることがありましたら是非弾いてみてください。きっと素敵な音を奏でてくれると思います!