「楽器が出来るようになりたい!」と思った時に、どうしたらよいでしょう?
いきなり楽器を買ってきて、すぐにハイ出来ました!とは、なかなかならないと思います。多少なりとも「練習」しなければ・・・。
たとえ超一流のアーティストであっても、初めてその楽器に触った時があったはずで、センスの良い人は最初の方から上手に弾けたのかもしれないけれど、それでも練習を重ねて超一流になったのだと思います。
練習するにも、その方法を誰かに教えてもらうか、自分でやってみるかの二つがあると思います。やはり、独学よりも、誰かに教えてもらう方が早いし確実に上達する可能性がありますよね。
先日、小学校時代からの友人と話をしていたら、こんな話をしてくれました。その友人は、子どもの頃からピアノを習っており、今はピアノの先生をしてます。レッスンをしていて保護者の方から「練習させなきゃいけないのはわかってるけど、できないものはできないんです!」と言われた……と。ピアノを習いにきているはずなのに自分はどう接していけば良いのだろう?ということでした。うん、息子がピアノを習っているときに自分も先生に言ったことあるかも……。
うーん……。
私は、子どもの頃、エレクトーンを習っていましたが、指使いが上手く出来ず、誤魔化しながら弾く癖がついてしまいました。結局、難しい曲になると指が誤魔化しきれず、上手に弾けない……という壁にぶつかり、たまたま小学校卒業というタイミングだったので、そこでエレクトーンは辞めてしまいました。楽しくないわけじゃなかったのですが。また、学生の頃、サークル活動でバンドでキーボードを担当しましたが、やはり適当な指使いのせいで、上手に弾けない……。さらには、これまた適当な音符の読み方で、渡された楽譜を理解するのに非常に時間がかかり、絶対音感があるわけでもないので、本当にいい加減に耳で聞いた音をなぞって弾いていました。ある程度はできても、それ以上になるにはかなりの努力が必要なんでしょうね。やはり基礎を身につけるのは大事です…。バンドは楽しいのですが、学校を卒業してからは一緒に楽しんでいた友人たちも就職して会わなくなるとともに、楽器も弾かなくなっていきました。最近は加齢も加味して、いくら覚えようとしても、何回も同じところで間違えるんですよね。何回も繰り返して練習するのですが、毎回同じところで。さらに人前で弾くとなると、今までよりさらに指は動かなくなり、動かない!と思った瞬間、以降の曲の構成はすっ飛び……。指が動かないどころか、どんな曲だかもわからなくなってパニック……。情けないですねぇ。
最近ウクレレを持つようになりましたが、全く初めて触った楽器で、訳も分からずYouTube見ながら触っているだけなのに、気がついたら自然と馴染んで来ていて……。覚えられるはずないと思ったコードも、少しずつ覚えてきて……。還暦近い年齢になって始めた楽器。身につくはずもないよな……と思いながらも、楽しくて、見よう見まねで楽しみながら早一年。下手くそながら、未だに楽しくてしょうがない。
この違いは何でしょう。鍵盤もウクレレも、上手になりたい、楽しく弾けるようになりたいと思っているのですが、やはり、何のしがらみもなく、フランクで親しみやすいのはウクレレの方。なんか、ふと弾きたいなぁと思うのはウクレレの方なんです。そして身につくのも、成果が見えるのもウクレレ……。ウクレレは基礎からしっかり学んだ訳じゃありません。先生はYouTube。指使いも適当。でも弾いているうちに、次に弾くコードを考えながら弾きやすい指使いに変わっていたりして、徐々に慣れてきました。
でもやはり、きちんと基礎から学んだ方が上達するように思います。そして早い。初めてのコード、どの指でどう押さえたらよいのか分からないコードはたくさんありますし、ストロークだって動画見てもどうやって音が出てるのか分からないの多いですから。Youtubeでも解説動画上げてくださっている方がたくさんいらっしゃいますが、それでもやはり実際にいろいろな角度から目で見て、自分でやってみて、それを客観的に見てもらって正してもらい、疑問点を解決してもらうという手段があるのとないのとではかなり違うと思います。それが教えてもらうのと、ひとりでやるのとの違い? かな?
ギタリストの友人は、独学で音符は読めないといいながら、ギタリストとしてアーティストの全国ツアーに行くような活動をしていました。絶対音感も持っていて、チューナー等に頼らずともあっという間にギターのチューニングを完了してしまうような人間。前出のピアノの先生は、ずっと厳しい練習をして来たと。コンテストで優勝してしまうような人間ですが、今でも師匠のレッスンを受けに行くといいます。ちなみに、どちらも小学校からの友人ですが、片や独学、片や厳しいレッスン・・・。
「好きこそものの上手・・・」といいます。やはりまず「好きである」ということは上達が早いのだと思います。ギタリストの友人も、ピアニストの友人も、二人ともギターやピアノが好きであったと思います。ギタリストの友人は、今はほとんどギターは弾いていないといいますが、ヴォーカリストとして自分のバンドを率いて定期的にライブ出演しています。ピアニストの友人は、ウクレレを始めてみて初めて音楽を楽しんでも良いと音楽の神様に言われた気がする・・・といいました。どちらも好きなんですよね。??あれ??好きと楽しいは違う?
以前の研修会で、「友達と仲間は違う」という話がありました。似ているようだけど、意味は違うと。「楽しいから好き」なわけでも「好きだから楽しい」でもないことがあるんですよね。僕は基本、楽しいから音楽であるとは思っています。もちろん大勢の方に聴いていただくような演奏をする方や、大きなコンテストに出るような方たちは、ストイックに技術を突き詰めていくでしょうし、その過程で楽しいなんて感じないかもしれません。そんな方たちが音楽の屋台骨を背負って立っているんだと思います。しかし、その裾野にいる僕らにとって「音楽とは楽しいもの」にさせていただいても良いのだと思うのです。楽しいから時間も忘れて弾いてしまう・・・。楽しいから気がついたら弾けていた・・・。それで良いし、それが理想じゃないか?と思うのです。プロの方だって、楽しくて仕方がないと思いながら弾いている方の演奏は、聴いていて楽しいですよね。
やはり基本は大切だとは思います。でも往々にして、基礎練習ってつまらないんですよね・・・。キヨシ小林さんの『ウクレレ メソッド』の中に、「ミズタマリ」という曲があります。とても素敵な曲で、いつか弾けるようになりたいと、苦手な楽譜を苦労して読みながら練習しているのですが、気がついたら、今までちゃんと弾けなかった曲が以前より楽に弾けるようになったり、今まで全くできなかったアルペジオも、なんとなくですが雰囲気が出来るようになっていました。楽しみながら、そしてモチベーションを保ちながら自然に上達している!さすが『ウクレレ メソッド』です!
「ミズタマリ」のように、カッコよかったり、ノリがよかったり、ステキだったりする、そして耳なじみのある曲で、自然に上達してしまえるような初心者向けウクレレ練習曲アレンジがたくさんあったら、いいな・・・と思います。
ウクレレ広場は、目標を決めずに、ゆる~くウクレレを楽しむために開催しています。ただ、たまにはプロの演奏を聴いてみたり、広場に集まる方の練習の成果を発表できる機会も作りたいと思っています。発表という目標を定める事で集中して練習出来るということもあるでしょう。
先日、ウクレレ広場の第一回発表会を開催いたしましたが、広場がきっかけでウクレレを始めた方も何人もステージでみなさん楽しそうに演奏してくださいました。ウクレレ広場って誰が教えてるの?と聞かれる事がありますが、広場に先生はいません。ですが仲間はいます。仲間同士で教えあったり、相談しあったりしながら、楽しみながら自然に上達している、そんな場になっている、独学とレッスンのいいとこ取り!そう感じさせてくれる発表会でした。
音楽がずっとそばに寄り添ってくれますように!