いつもウクレレ広場においでいただいている方とお話しをしていて、ハワイについて非常にお詳しいことを知り、是非ブログに!と寄稿をお願いしたところご快諾をいただき、ご承知出来ることになりました。今回は、ハワイを代表する名曲、アロハ・オエについてお話しいただきました。
アロハ・オエ
16年前の夏、私は英語を勉強するためにホノルルに1週間滞在しました。音楽好きでハワイ音楽にも興味があった私は午前中の英語のレッスンが終わるとホノルル市内の楽器店に立ち寄り、そこでウクレレの体験レッスンを受けました。何回かレッスンを受けるうちにウクレレの魅力にすっかり取りつかれ、帰国後は東京のウクレレスクールにも通いました。
今回は私の大好きな曲の一つ「アロハ・オエ」をご紹介します。この曲を作曲したのはハワイ王国最後の王、リリウオカラニ女王です。18世紀にイギリス人航海者キャプテン・クックの到来以来、ハワイはヨーロッパ人に占領され、19世紀にアメリカ人の移住者が増えたことでアメリカ系住人が権力を持つようになりました。ハワイの伝統を守ろうとする王国派とアメリカへの併合を求めるアメリカ系住人との間に対立が生じ、最終的にはアメリカが武力を使って女王を退位に追い込みました。こうして、18世紀末にカメハメハによる統一以来100年存続したハワイ王国は滅亡します。この「アロハ・オエ(あなたにさようなら)」という歌はリリウオカラニが女王になる前に作曲したと言われ、元々は恋人に別れを告げる歌だったそうですが、王国の滅亡という悲劇を思いながら聞くと「祖国への別れ」とも重なって悲しくせつない旋律のようにも聞こえてきます。
アロハ・オエ 作詞・作曲 Queen Lili’oukalani
Ha'aheo ka ua i na pali
岩壁の脇を誇らしげに雨が降り注ぐ
Ke nihi a'ela i ka nahele
森の木々を滑りながら通り抜けるように
E hahai ana paha i ka liko
花の蕾を追いかけながら
Pua 'ahihi lehua o uka
谷に咲くレフアの花よ
Aloha 'oe, aloha 'oe
さようなら あなた さようなら あなた
E ke onaona noho i ka lipo
木陰にたたずむ愛しい人よ
One fond embrace a ho'i a'e au
別れる前にもう一度抱きしめたい
Until we meet again
いつかまた会える日まで
参考文献
矢口祐人 ハワイの歴史と文化―悲劇と誇りのモザイクの中で 中公新書 2002
石出みどり、石出法太 これならわかるハワイの歴史 大月書店 2005
アルトン・プライヤー(著)ヒロ・せきね(訳)ほとんど知らないハワイの歴史物語 風詠社 2012
池澤夏樹 ハワイイ紀行 新潮社 1996